「空室増加に備え、自己物件の競争力確保に注力を」
先週のこの欄で取り上げた総務省発表による「住宅土地統計調査」(H25.10.01.現在)について、今週は、平成20年度調査との比較について見ていきたいと思います。
東京23区の人口は、平成20年から平成25年までで、約263千人、世帯数で396千世帯増加しております。この間、住宅は、約446千戸増加し、その内賃貸住宅は253千戸(56.7%)を占めております。また、賃貸住宅の空室は、約70千戸増加となっております。即ち、世帯数の増加以上に住宅は増加し(約50千戸)、賃貸住宅の空室は、更に、その20千戸以上多い70千戸が空室となっております。
各区別では、世帯数の増加に比べて賃貸住宅の増加が著しいのは、大田区(209%)、練馬区(194%)、文京区(181%)となっております。
同様に、横浜市では、平成20年に対して平成25年の人口は、約70千人増加し、世帯数は約61千戸増加しております。これに対して、賃貸住宅の増加は、約47千戸に留まり世帯数の増加内に留まっております。しかし、横浜市の特徴は、各区別で見た場合、横浜南部の7区(金沢、磯子、港南、南、栄、瀬谷、保土ヶ谷)で既に、人口減少が見られることです。(東京23区は全区で増加)そして、これら7区の賃貸住宅空室率は、おしなべて高くなっていることです。ここから判ることは、東京のターミナルに近い地域ほど人口増加が著しく、東京1局集中を的確に物語っているものと思われます。
いずれに致しましても、賃貸住宅の供給過剰は顕著であり、これに賃貸住宅の潜在候補となる賃貸住宅以外の空き家(東京23区で153千戸、横浜市で約65千戸)を考慮した場合、かなりの高率の空室率を覚悟しなければならず、新設の場合には、その立地の持つ賃貸住宅としてのポテンシャルを慎重に見極めることが肝要であると判断致します。また、現在、賃貸住宅を経営されている方々は、周辺の賃貸マーケットの状況に絶えず留意し、自己物件の競争力確保により一層の努力が必要になると判断致します。(数値は、各行政機関が発表した統計表を基に、当社で独自算出致しました。) 以上