「大塚家具」株主総会と黒子役不在
3月27日、㈱大塚家具(ジャスダック上場)の株主総会が行われ、経営方針をめぐる創業者会長と現社長(会長の長女)の争いが、現社長側の言い分が株主に認められた結果となりました。この問題は、同族企業でなくても、よく発生する問題ですが、多くの企業にあっては、その取締役会において議論され、表には、決して出ない問題ですし、当事者間で処理されるべき問題です。とは言うものの、本件では、当事者は、経営戦略の選択を乗り越え互いに憎悪を持ち、相手を罵り合うまでに発展してしまっております。
この問題で、私が最も残念に思っているのは、今日の事態に及ぶ前に、何故本件の調整を図る黒子役が、社内事情に詳しい幹部社員の中から出なかったかということです。本件の様な問題は、どの企業でも発生いたしますが、多くの企業では、経営者から一定の信頼関係にある、社内幹部がその調整にあたっているのではないでしょうか。但し、この様な黒子役は、その調整動機の純粋性や中立性、潔癖性が強く求められ、その調整に失敗した場合には、退社する位の覚悟が必要です。規模の大小、問題の本質は異なりますが、黒子役を経験した端くれのひとりとして残念でなりません。
翻って私たちの賃貸経営で見た場合には、日々発生する賃貸トラブルや相続等で上記の様な黒子役が必要となります。何故なら、賃貸トラブルや相続でも、賃貸人と賃借人又は相続人同士が、お互いに「正義」と思って主張し、「正義」と「正義」と戦いとなるからです。更に、賃貸借では、借地借家法という法律により、問題の解決が更に遅れることにより、尚一層問題が複雑化するからです。是非、皆様も身近の方で、この様な問題について黒子役となって下さる方を見つけて置かれることを願ってやみません。それが、問題を複雑化させることを防ぐ唯一の方法ではないかと思うからです。 以上