女性と決断

 6月30日終了した日本経済新聞の篠原欣子氏の「私の履歴書」に記載された内容で、特に印象に残ったことが御座います。篠原氏は、人材派遣会社 テンプスタッフの創業者であり、オーストラリアから帰国後、東京・六本木で、たった一人で起業したとのことで御座います。
 特に私が印象に残ったのは、会社の発展に伴って株式を公開されようとした時、その寸前で苦悩の末、公開を断念され、その後体制を建て直し、再度挑戦し公開をはたしたとのことで御座います。公開断念時には、企業の各ステークホルダー(利害関係者)から、お叱りを受けたと篠原氏は、その文章の中で述べられておりました。
 一般に企業がその株式を公開する場合には、業績はもとより、各種規定のチェックから始まって、企業のガバナンス(企業統治)全般についてチェックし足りないものがあれば、付けくわえていく膨大な事務負担と労力及び資金負担が必要と言われております。場合によっては、公開できない場合には、それが業績の足を引っ張り、最悪の場合、倒産するとも言われております。
 その中にあって、篠原氏は、その組織と運営の状況が、その作られた規定や企業の仕組みが、その器そのもののレベルに達していないと判断され、あえて公開を断念したものと推量致します。しかし、これは、言うまでもなく企業を取りまく従業員、株主、派遣スタッフ、取引先、金融機関等と直接その公開業務にあたった証券会社等に、多大な負の影響を与えたこともまた事実ではないでしょうか。突然の公開断念は、篠原氏に対する各利害関係者の信用失墜となったことは、容易に推測できます。恐らく、非難の嵐となったのではないでしょうか。
 しかし、企業の経営者は、何があっても、その企業の利害関係者とその家族を守らなければなりません。たとえ、どんなに非難されようと、企業の維持が絶対命題だからです。その中にあって、あえて公開断念を果敢におこなった篠原氏の勇気は、むしろ賞賛に値するものと考えます。その後の同社の発展をみれば、おのずと回答は出てきます。
 一般に、女性は、忍耐強く緻密で潔癖でかつ現実主義者と言われております。もし、これが男性経営者なら「何とかなる」という思考停止から公開していたのではないでしょうか。現実には、何ともならないのが実際で、公開後、問題を起こしている企業もまま見られます。女性の持つ潔癖性と現実主義のいい面が現れたものと思われます。
 私たちの賃貸経営においても、ある時は名誉ある撤退が求めれることがあると思います。そんな時、周辺に惑わされることなく、例え廻り道でも、当初の方針を粘り強く進めていく勇気を持つことの重要性を、篠原氏が身をもって教えてくれていると理解すべきではないでしょうか。

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