賃貸借と外国人
7月10日付け日本経済新聞朝刊によれば、政府は、成長戦略の一環として、優れた能力を持つ外国人を呼び込むため、経営者や技術者を対象に「新しい永住権」のの創設を検討するとのことであります。従来の日本の出入国管理法によれば、日本の永住権を取得するためには10年の滞在が必要であったが(在日韓国人等などの特別永住者を除く)、昨年から、大学教授や技術者、経営者ら年収・技能などで一定以上の水準を満たした外国人の在留資格を優遇する「高度人材ポイント制」を始め、その滞在期間を5年としておりました。今回、これを3年に短縮するもので、より優秀な人材の流入を図る目的とのことであります。
居住用賃貸マーケットで、外国人の問題が顕在化しなかったのは、まさに、この出入国管理法によるものといっても、言い過ぎではないかもしれません。現行の日本の出入国管理法によれば、外国人で日本で就労が認められるには、この高度に専門性のある技術者・医者・経営者等のみであり、単純労働者の就労は認められておりません。よく街で見かける外国人労働者は、留学生・研修生・実習生等であり、夫々就業時間の拘束等がございます。
即ち、単純労働に就労している外国の方々は、その在留許可が切れ次第、在留資格を失い、日本を離れねばならず、また、その住居は社宅等であり、この両面から問題の顕在化が起こらなかった原因と考えられます。また、大手外国企業の日本支店等の経営幹部の住居の賃貸借契約の多くは法人契約であり、米軍関係の方の住居に関する賃貸借契約は、日本国内法が及ばない基地内で米国法により締結されるもので、問題の顕在化を防いできたものと思われます。
しかし、折からの少子高齢化の進展等により、今後は、この出入国管理法の変更も考えられ、いよいよ本格的な外国の方々向けの居住用賃貸物件を検討すべき時期にきているのではないでしょうか。勿論これには、外国の方々の日本への移民の是非という大命題が存在し、そう簡単に結論の出る問題ではございませんが、TPP 始め国際化の進展とともに、永住許可を取得した外国人の増加に比例して、好むと好まざるに関わらず、その対応が必要となってくるものと思量致します。
私たちの賃貸経営にあたっても、いざというとき困らないためにも、その外国の方々の様々な生活慣習を学びながら、賃貸募集から始まって、賃貸借契約、賃貸中の他の賃借人とのトラブル防止、退去時のトラブル防止等を含めて、外国人を契約相手方として、本格的な検討時期に入ったものと考えられます。ちなみに、国土交通省のホームページによれば、英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語の標準賃貸借契約書及び賃貸契約ガイドラインが既に用意されております。この永住権の資格取得の要件緩和の検討を機に、ご自分の賃貸不動産で様々なシュミレーションを行っておくことを、特にお勧め致します。








