「非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の1/2とする」規定についての最高裁違憲判決と借地借家法
9月4日、最高裁判所大法廷は、裁判官全員(14名(1名は、公務により外れる))の判断により、「非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分の1/2」とする民法900条の但し書き規定は、日本国憲法第14条1項(法の下の平等)に違反とする、憲法違反の判断を下しました。
この判決は、次の2つの部分で画期的な判決と、私は思量致します。一つは、明治憲法以来続いていたこの規定を違憲としたこと。他の一方は、時代の流れ(人々の考え方の変化)を取り入れたことだと思います。
本件についての旧来の判例は、平成7年に出された合憲判決でありました。その後、最高裁判決も、その中で述べている通り、日本人の「家」に対する考え方が大きく変化し、「家」より「個人」を尊重する世の中が一般化したことが、この判決に大きく影響したことを、判決は認めております。即ち、明治憲法から続く「家督相続」の考え方は、平成22年の民法改正により廃止され、その間、ドイツにおいては、1998年「非嫡出子の相続税法上の平等化」、フランスにおいては、2001年の「生存配偶者及び姦生子の権利及び相続税法の諸規定の現代化に関する法律」によって、既に夫々廃止されており、現在、我が国以外で嫡出子と非嫡出子との間で、その相続分に差異を設けている国は、欧米諸国にはなく、世界的にも限られた状況であることを認めております。
更に、判決は、相続制度を定めるにあたって、国の伝統、社会情勢、国民感情なども考慮することを求めております。戦前からの家督相続の制度を否定し、法律婚から事実婚への考え方の変遷が、その根底にあることを認めております。
翻って、私達が対応する「借地借家法」を、国の伝統、社会情勢、国民感情を考慮しているかについて、考えてみたいと思います。借地借家法においては、賃借人を弱者、賃貸人を強者とする基本認識のもとで、そこには、憲法第14条の1項の「法の下の平等」は感じられません。何故なら、借地借家法第9条、第16条、第19条、第30条等には強行規定が設けられており、借地人・借家人に不利な規定は、これを無効とする規定が設けられております。更に、契約の更新においては、厳格な「正当事由」の規定が設けられ、例え、相手が不良賃借人であっても、契約解約は極めて難しいのが現状でご座います。もともと、これらの規定は、当社ホームページにも御座います通り、借家が不足し、寡婦が借家から追い出される様な状況で作られたもので、現在の様に、空き家が増加し、社会問題となっている様な社会には、適さないのではないでしょうか。
更に、国民感情の面からも、現在、マイホームを持つことは、さして贅沢とは言えず、このマイホームを転勤等によって賃貸することは、通常の社会現象と考えられます。しかるに、現状では、例え、それがマイホームであっても、賃貸借すれば借地借家法の適用を受け、転勤あけにより自分の家に帰りたくとも「正当事由」により帰れない等の弊害も出ております。更に、私の、拙い経験からも、裁判所は、地主・大家を一方的に裕福であり、保護する必要はなく、賃借人は貧乏で可哀そうだから保護が必要とする誤った偏見によって、地主・大家を一方的に敵対視する風潮があることは否定できません。可哀そうな賃借人がいることは、否定しませんが、それは、社会全体で面倒をみるべきものであり、唯一人の賃貸人のその責任を押し付けてすむというものでは御座いません。
ご存知の通り、都市部の賃借人は、経済的合理性を無視した極めて低い地代によって、法外な利益を得、賃貸人が、少しでも地代を上げようとすれば、傾斜家賃の制度を利用して、その上げ幅を抑えられいているのが現状で御座います。
今回の最高裁判決を期に、法の下の平等のもと、この借地借家法が一日でも早く改正され、賃貸人と賃借人が同等の権利義務持つ公平な社会の実現を望みたいと私は願っております。








