不動産取引のIT化について
4月22日日本経済新聞朝刊によれば、国土交通省は、不動産の売買や賃貸でインターネット取引を解禁することを検討し、平成15年に法案提出を目指すとのことであります。この記事によれば、不動産の重要事項の説明及び契約書の交付をTVやメールでできる様にするとのことにより、遠隔地に住んでいる方や外国の方の利便性を高めるとのことで御座います。しかし、これは、記事の中でも述べられている通り、従来より指摘されておりますインターネットによるなりすましや名義貸しを助長する可能性もあり、不正行為防止の仕組みの構築が欠かせないと結んでおります。
この問題は、次の2点の問題があると考えます。その第1点は不動産売買取引において、そもそも、不動産を実際に見ずして契約を行うことが本当にあるのでしょうか。売買の場合など、数千万円やそれ以上の売買金額となる不動産を全く見ないで購入することなどありえないのではないでしょうか。更に、売主の本人確認や売却意思確認を実際の面談なくしてどの様行い、売買金額の授受や抵当権の抹消をどの様に行うのでしょうか。更に、諸外国と違い、日本の不動産取引は、法律に完全に守られているものではなく、そもそも、不動産登記自体、その公信力が認められておりません。
その第2点は、売買同様に、賃貸契約にしても、周囲の環境や、最寄り駅までの距離や生活環境及び貸室内の設備状況を実際に確認せず契約にいたることは、後のクレームに結びつくのではないでしょうか。大家側にとっても、ネット上のIDとパスワードによる確認のみで契約を行うことは、実際には不可能なものと考えます。更に、賃貸借契約は、売買契約と異なり、契約後その賃貸期間においては、貸主と賃借人は利害関係者となり、双方が信頼関係を構築しなければならないものです。始めから、実際に面談せずして信頼関係など構築できるものでしょうか。現在でも、賃貸トラブルは、数多いのに、更なるトラブルを誘発される可能性も高いものと考えられます。
結局、このIT取引化は、契約当事者の合意の上、限られた取引に限定して行われことから始め、同時に、周辺の法律の整備を進めながら導入することが望ましいのではないでしょうか。








