裏付けられた「賃貸住宅」の空室率
先週末に、当社は、会員制クラブ「羅針盤」の本年度第1回セミナーを実施いたしました。内容は、賃貸住宅の収益リスクと今後増加が予想される外国人賃借人に対する基本的アプローチで御座いました。
第1部の賃貸住宅の収益リスクでは、東京23区・横浜市・川崎市の将来人口及び先般発表された総務省統計局の「住宅土地統計調査」(平成25年10月1日現在)の結果に基づく賃貸住宅の需給関係、各区別の空室率、更に当社独自に代表的な鉄道の駅における空室調査とその分析を加えました。
東京23区では、賃貸住宅の空室率では、消滅都市とされた豊島区が23.3%と最も高く、次いで大田区(20.9%)、中野区(18.8%)と続いております。更に、当社独自のミクロ分析(本年4月時点)において、これらに区に所在する「JR蒲田駅」「JR中野駅」の賃貸住宅の空室分布調査によれば、これら2駅の空室は、その絶対量において他を凌駕しており、且つ、駅徒歩5分以内の空室が、他の駅(武蔵小杉、横浜駅、川崎駅、大井町駅)に比べて多いことでした。これは、図らずも、住宅土地統計調査の結果を裏付けるものでした。
更に、ミクロ調査では、最寄駅と築後年数の相関関係についても分析を加えましたが、各駅とも、築後20年以上の建物に空室が集中しておりました。この相関関係については、従来から何度も触れてまいりましたが、例え、最寄駅徒歩5分以内でも、建物建築後20年を経過した物件では、競争力が劣るという結果でした。今回の分析では、現在の賃貸住宅マーケットにおいての競争力のある物件としては、最寄駅徒歩5分以内且建築後20年以内の物件に限られるという結果で御座いました。
上記結果を踏まえて、今後の賃貸住宅経営では、予想される人口減少を前提に、安易な相続対策や投資利回りだけに囚われることなく、マーケットを冷静に分析し、慎重な投資姿勢と投資金額の早期回収(できれば20年以内)を目指すことをお勧め致します。
尚、来週は、横浜市・川崎市の状況、外国人賃借人について取り上げていきたいと思います。 以上