対岸の火事では済まされない「ギリシャ危機」と日本
先週から今週にかけて、世界を騒がしているギリシャの債務不履行問題ですが、日本での反応を見ても、一様に、債務返済を実施しないギリシャ政府に問題があり、EU脱退もやむなしの声が蔓延しております。しかし、先週のこの欄でも取り上げました通り、あのギリシャより、債務過多(GDPの233% 財務省HP)の日本についての懸念については、ごく一部のマスコミが取り上げたくらいです。
日本の財政問題は、巨額の債務(1034兆円 2015.3末)がありながら、更に、赤字国債を発行し続けていることです。本年度予算における赤字国債の発行予定額は、31兆円にも及び、全予算金額の 32%を占めております。確かに、日本の国債所有者の95%は、日本の金融機関及び個人(財務省HP)ですが、借金に代わりは御座いません。いつかは、返さなければならないのです。
本来なら、借金の出血を止めて、返済計画を立てねばならないのですが、その気配する感ずることもできません。毎年、毎年、社会福祉やその他の費用の増額に合わせて、赤字国債を発行させているのが現状です。
一方国民は、増税に鋭敏に反応し、増税反対の大合唱です。確かに、税金は安いに越したことはありませんが、それも歳入不足が顕著な現状では、いかがなものなのではないでしょうか。更に、歳出を少しでも削れば、大ブーイングの嵐です。
それでは、現状の赤字国債の発行債務は、誰が、いつ、どの様に支払うのでしょうか。現況の国債の償還日は、10年、20年、30年、最長40年ものも御座います。即ち、今に生きる我々のために使われた債務は、20年、30年、40年先の国民が負担させられるのです。その20年、30年、40年先の日本は、どうなっているのでしょうか。社会保障人口問題研究所の推定によれば、日本の人口は、2020年には124百万人、2030年には117百万人、2040年には107百万人になると言われております。更に、その生産人口(16歳~64歳)は、2040年には、現在より1890万人少ない、5780万人と言われております。
楽観主義も結構ですが、人口は減少した中で、巨額の債務で将来の日本国民は、どう過ごすのでしょうか。ある意味、今のギリシャよりひどいかもわかりません。もうそろそろ、財政問題を真剣に考えないと、私たちの子孫が生き延びることができるかのところに来ているのではないでしょうか。将来の日本国民に、将来を考えない「愚かな世代」と言われないために。以上