選択と集中 「戦略的決断」の重要性

 先週のこの欄で、富士重工㈱の本年度決算から、身の丈にあった「選択と集中」が如何に重要であるかに触れました。6月24日付け日本経済新聞朝刊のグローバルオピニオンコーナ―に寄稿された、米国ペンシルベニア大学のニコライ・シゲルコ教授(経営学)の文章も、正にこの点にふれられており、今後の日本企業に重要な示唆を提示していると思われます。
 即ち、教授は、米国コンピューターメーカー「デル」の例を示し、企業には「成長の罠」と呼ぶべき現象があると述べています。「デル」は、その創業から15年ほどは、目を見張る様な成長を成し遂げてきたが、この成長を可能にしたのは、絞り込みによるものだと述べています。顧客を法人ユーザーに限定し、商品は、ハイエンド(高級品)に特化した企業戦略としたことにより、顧客のカスタマイズ(個別対応)に徹底して応え、その成長を成し遂げてきた。
 しかし、その「デル」がその成長戦略の一環として、一般個人にまで、顧客範囲を広げたことが、かえって収益の悪化を招いたとするものです。その動機は、様々であろうが、売上増進・利益増進を目指して、一般顧客にまで顧客範囲を広げたことは、従来のユーザーである企業のIT担当者(専門家)の対応から、コンピューターの知識に疎い一般個人に広げたことによりユーザー対応に多額の経費が発生し、「デル」の強さの源泉であった低コスト体質が失われたとするものです。
 更に教授は、多くの日本の企業の特有の問題点の一つは、業務効率改善には長けているが、戦略的決断が弱い。戦略的決断とは、物事ののトレードオフ(両立しないこと)を認め、何かを捨てることだ。そして、多くの日本の企業は、何かを諦める決断を苦手としていると述べています。常に、戦略的ポジションを意識的に実行しないと、他の競争企業との差別化ははかれず、収益は低迷すると述べています。
 ちょうど、先週取り上げた、富士重工㈱が、軽自動車の生産を諦めたことが、かえって収益の向上を果たしたことが、物語っているのではないでしょうか。勿論、そこには、同社の持つ誠実で、ひたむきな消費者に向けた商品開発姿勢を愚直に推し進めてきた企業戦略が前提となっていることは、いうまでもないことです。
 翻って、私達の賃貸経営を考えてみた場合にも、同じことが言えるのではないでしょうか。自分の所有不動産の賃貸マーケットの現状分析を徹底的に行い、その不動産の持っていいるポテンシャル(潜在能力)を十分に理解したうえで、戦略的決断を行っていくことが、少子高齢化・相続税増税・賃借人優遇の法律等の向かい風にある日本の賃貸経営では、特に求められているものと私は考えます。

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