不可解な賃貸住宅売買マーケットの品薄状況
当社は、従来から地方のお客様の要請で、当社が推奨するある一定地域(東京23区及び横浜18区の特定部分)の賃貸物件を探しております。そこで、ある異変が起こっております。
上記一定地域の売り物件を詳細に分析すると賃貸物件の素性がはっきりわかります。具体的には、東京都23区の城南地域の特定地域(JR線4駅)の5月27日現在の売り物件34件の内、利回のはっきりしている20件について分析を行ってみました。(全体の加重平均利回り(表面)は、6.08%)
その結果、まず、最寄り駅からの距離別に考えた場合、徒歩5分以内の物件は3件で、その平均利回りは、6.53%、徒歩6~7分以内の物件は2件で、その平均利回りは5.4%、徒歩8~10分以内の物件は8件で、その平均利回りは、5.29%、徒歩11分以上の物件は、7件で平均利回りは、7.31%となっております。
次に、建物の建築後の年数では、築5年以内の物件が3件で、その平均利回りは5.0%、築6~10年以内の物件は、3件で平均利回りは5.47%、築20年~30年までの物件は7件で、その平均利回りは5.87%、築31年以上の物件は7件で、その平均利回りは6.89%となっております。
サンプル数が少なく、これをもって全体を判断することは危険ですが、それでも下記のようなことは、確実に言えるのではないでしょうか。
第1には、売物件数が極端に少ないことです。対象物件のエリアの賃貸住宅の戸数は、対象に含まれる大田区だけをとっても、有に21万戸を超えております。(H25.住宅土地統計調査より)本件の対象物件は、利回りの不明なものを含めて約34物件ですので、1物件当たりの戸数を10戸とした場合でも、全体としては、0.01%にすぎません。
次に、最寄り駅からの距離と建物の築後年数及びその利回りから判断されるのは、徒歩8分以上の物件は、全体の75%を占め、建築後20年以上の物件が、14件で70%をしえていることです。 この結果から判明することは、東京の城南地区という人気のある地域では、徒歩5分以内の築浅な物件は、ほとんどなく、最寄り駅から11分以上かかるような賃貸市場でも人気薄な物件しか売り物がない、極端な賃貸物件売手市場となっていることです。
翻って、新規賃貸投資を考えた場合、現状の様な極端な品不足の状況では、いいものを探すことはできず、もう少し物件の供給がされるまで待つべきではないでしょうか。何故なら、少子高齢化の賃貸需要減少の中、賃貸物件の全体の空室率は、依然として高く、その他に空き家も数多くある(大田区で16千戸(賃貸住宅空家を除く))のですから、必ず売り物件は、供給されてくるものと推測されるからです。 以上